予備品証明制度廃止に伴う(Certificate・装備品基準適合証)タグの取り扱いについて

予備品証明制度廃止に伴う(Certificate・装備品基準適合証)タグの取り扱いについて

航空機に使用される部品は、全て下記の品質を証明する書類が必要となる。


航空機の使用者は、重要装備品に限らず、航空機に装備する全ての装備品・部品について、国の認定を取得した事業場(認定事業場)が基準適合性の確認をした装備品等(装備品基準適合証が添付されているもの)でなければ、航空機に装備できなくなります。


従来、予備品証明の「みなし」としていた、外国当局による証明書(輸出耐空証明書)や日本と相互承認協定を有する国が認定した事業場が発行した基準適合証は、改正後も引き続き有効です。


各国で製造又は修理された航空機部品は下記の書類が発行されます。


海外の装備品基準適合証の種類

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  • ヨーロッパEU 加盟国(EASA FORM 1)

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  • カナダ(TCCA FORM ONE)

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  • 中国(CAAC)

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日本国内で製造又は修理された航空機部品は下記の書類が発行される。

  • 日本(装備品基準適合証)

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  • 予備品証明合格票

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現行(2020 年11 月時点迄)の航空法上の取り扱い方法は、

 

  • 14 項(赤枠の部分)にサインがあり、12 項がNEW の表記になっていることで、そのまま航空機に取り付けることが可能となる。これを「みなし予備品証明」と呼ぶ。

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  • 18 項(赤枠の部分)にサインがあり、12 項がREPAIRED, OVERHAULED,INSPECTION の表記になっていれば、予備品証明検査を受検しなくてはいけません。

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予備品証明検査を受検し合格することで下記の合格票が発行され、航空機に取り付けることが可能となる。

 

 令和4 年6 月から施工される予備品証明制度廃止に伴う(Certificate・装備品基準適合証)タグの取り扱いについて現時点では下記の様になる予定。


日本と相互承認協定を有する国 BASA 協定(Bilateral Aviation Safety Agreement)の整備分野BASA の締結が出来ている国が前提。

  1. アメリカ(FAA):整備分野BASA 未締結 令和4 年迄に締結予定
  2. ヨーロッパ(EASA):整備分野BASA 未締結 令和4 年迄に締結予定
  3. カナダ(TCCA):整備分野BASA 締結済み
  4. シンガポール(CAAS):整備分野BASA 締結済み
  5. 中国(CAAC):整備分野BASA 未締結 締結予定無し

 

BASA とは、相手国当局の責任のもと、相手国の事業場の発行する証明(Authorized Release Certificate, ARC)を日本国と同等基準と協定を結ぶこと。

  1. 耐空性分野(新規製造品):航空機の製造や部品の製造

  2. 整備分野(修 理 品): 航空機の修理や部品の修理

この2種類があります。

 

 

この整備分野BASA の締結が完了している国が発行したCertificate は、そのまま航空機に取り付けることが可能となる。
左サインや右サインは、関係がなくなる。

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重要装備品の概念が無くなるため、型式承認や仕様承認制度も大幅に変更される一方、「全ての航空機部品に対して、基準適合表やC ertificate が必ず必要となる」。

 


ただし、
Standard Parts 、 Material (材料)や Commercial Parts については、合格票、品質保証書、 C of C 等が今まで通り代用が可能となる予定です。

 


Standard Partsとは:
• National Aerospace Standards (NAS)
• Army Navy Aeronautical Standard (AN)
• Society of Automotive Engineers (SAE)
• SAE Sematec
• Joint Electron Device Engineering Council
• Joint Electron Tube Engineering Council
American National Standards Institute (ANSI)
• EN Specifications
• Aerospace Standard (AS)
• Military Standard (MS)


Materialとは、
消耗品、原料のいずれについても、設計者が指定した当該材料に要求される仕様を満足するもの。
(例 • 潤滑剤、接着剤、コンパウンド、塗料、化学染料等の消耗品 • 装備品等を製作するための金属、プラスチック、木、繊維等の原料)

 

注意点:在庫品(非重要装備品)の取り扱いについて

 

  1. 改正航空法の公布(令和元年6月19日)より前に航空機使用者が購入契約を締結した、装備品基準適合証が添付されていない装備品等は、施行日(令和4年6月18日)以降も航空 機に装備することが可能。
  2. 改正航空法の公布日(令和元年6月19日)以降に航空機使用者が購入契約を締結した、装備品基準適合証が添付されていない装備品等は、施行日(令和4年6月18日)以降は、航空機に装備することを認めない。

 

ただ、この法改正には色々な不具合点も発生するもようです。
たとえば航空機内のカーペットは、カーペットの素材として装備品 基準適合表を持っているとしましょう。


このカーペットを切り取りしたり、加工するとどうなるでしょうか。


この場合、切り取り加工をしたものが基準適合表を発行しなければなりません。
以前は町工場等で行ってもらっていましたが、この工場は「装備品基 準適合表」を発行する能力を持っておりません。


この装備品基準適合表が発行できる会社は、「認定事業場」制度を取得しなければならないからです。


日本国の航空局は、この発生する事象に対して、この町工場に「認定事業場」制度を取得するよう促しております。


この「認定事業場」制度を取得は、かなりの費用と人員確保、2 年毎の更新検査をしていかなければ維持できないからです。


ほとんどの町工場は、取得しないでしょう。(費用対効果が薄すぎる為)

 

また、 消火器や無線機等の点検のみの場合 、国内の消防法や電波法に関わる認可を取得している業者に委託するのですが 、今後「認定事業場」制度を取得しなければ点検に出すこともできません 。

 

2 重行政の極みです 。

 

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